コップの水は、沸騰してもいないのに、なぜ、減っていくの?
前回の『状態変化』で説明した通り、物質を加熱すると、その状態は、「個体」から「液体」、そして、「気体」へと変化していきます。
氷を加熱すると0℃で液体に変化し、さらに過熱すると、100℃で沸点に達して、水蒸気に変化します。
ところで、暑い夏に、コップの水が、いつの間にか、減っていることに気付いたことはありませんか。
コップの水で考えなくても、雨が少なく、空梅雨の年などは、ダムの水位が下がっている映像を見られたことはありますよね。
ところで、コップの水やダムの水が減っていくのは、蒸発しているからだということは想像がつくと思いますが、何故、100℃になっていないのに水蒸気に変化するのでしょうか。
では、何故、コップの水やダムの水が減っていくのかについて、順を追って、説明しましょう。
空気中に含まれる水蒸気
空気中には、酸素や二酸化炭素が含まれていることはご存知かと思いますが、最も多く含まれいているのは窒素で約78%の比率です。その他にも、アルゴンという成分が約1%含まれています。
それ以外に含まれているのが水蒸気ですが、場所や時間によって比率が大きく変化(約1%〜4%)するため、一般的には、乾燥した空気での比率で表されます。
次に、空気中に含まれる水蒸気の量の違いについて、説明しましょう。
水蒸気の量、すなわち、湿度は、場所や時間によって異なると言いましたが、それは、主に、温度が原因しています。
このように、温度の高い空気の方が、温度の低い空気よりも、その中に含まれる成分の量が少ないのです。
気体に熱を加えると、その気体の運動量が増えることによって、気体の体積が膨らむため、同じ体積当たりに含まれる気体の量は少なくなるのです。
つまり、温度の高い空気は、その中に含まれる気体の間に、たくさんの隙間がある状態です。
この隙間に、水の表面の”元気のよい”水が、空気中に飛び出して、水蒸気となるのです。
【Dr.Keiのワンポイント・アドバイス】
気体に熱を加えると、その気体の運動量が増えて、気体の体積は大きくなる。
「熱を得た空気が元気になって活発に運動する」というイメージです。
温度の高い空気は、同じ体積当たりに含まれる気体の量が少ない。
同じ体積当たりに含まれる気体の量が少ないということは、軽いということです。熱気球は、気球の空気に熱を加えることで、上昇しますよね。
温度の高い空気には、多くの隙間があるので、多くの気体を含むことができる。
夏の雨上がりがムッとする暑さなのは、多くの水蒸気を含んでいるからなんですね。
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